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春い青⑩

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ヌル男「はあはあ、なかなか負ぶって走るのは大変だ」

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バキューーーーンッ
ヌル男「ひぃ、拳銃?このままじゃ・・」

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じじい「ち、外したか・・わしから逃げられると思うなよ?」

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じじい「この森はわしの庭みたいなもんじゃからのう、目隠ししてでも歩けるわ」

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ヌル男「このままじゃ逃げきれない・・うるはさん、ここに隠れていて」

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ヌル男「僕が反対側に注意を引けば、目覚めるまで時間が稼げる!」

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ヌル男「君だけは助かってくれ、マイハニー!」
チュッ

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ヌル男「おーい、こっちだボケ老人!膝でも痛むのかw」

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じじい「ふぉふぉふぉ、馬鹿が!そっちは袋小路とも知らずに」
ズンズンズンズン・・・

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じじい「どこに隠れとる?小僧ー!」
ヌル男(一か八かの大勝負だ・・)

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コツンッガサガサ・・
じじい「ぬ?」

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じじい「そこかーーー!」
スチャッ

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じいい「とみせかけてこっちか!」
バキュンッ
ヌル男「かかったな!」

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ヌル男「くらえーーーーー!!」
じいい「ぬああああああああああ!?」

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ヌル男「おかしい・・電気が出ない!」
じじい「おいおい、どうした」
ジロリッ

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じじい「バッテリーが0ではないか、さっき出力をMAXで使ったからだ・・」
ヌル男「そうか、なるほど」

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じじい「ってこのガキ、味な真似をしおって!」
ガンッ
ヌル男「ぐぁっ」

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じじい「そのキモメンをグロメンに変えてやらんと気が済まん!」
ヌル男「ぎゃーーーー」
ガンガンッ

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じじい「はあはあ、思い知ったか小僧」
ヌル男「ううう・・」

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じじい「最後に聞いておこう・・なぜ女を抱かずに、わしに逆らった?」

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じじい「一生女を抱けぬかもしれん貴様に、わしはチャンスをくれてやったのだぞ!」
ヌル男「ふふ・・」

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ヌル男「僕は、いつかきっとうるはさんに認めてもらうんだ・・無理やりものにしたって何の意味も無い」
じじい「!?」

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ヌル男「それが分からないあんたは、誰も人を愛したことが無いんだろうね!」
じじい「ぬうう・・いちいち癪に障る奴っ」

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じいい「もうよい、脳漿ぶちまけろ!」
ヌル男(これまでか・・)

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うるは「お前だ」
バキィッ
じじい「!?」

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ズシャアッ
じじい「グハァ!」

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うるは「ヌル男、顔に似合わず格好よかったぞ!」
ヌル男「うるはさん、やっと目が覚めたんだ・・」

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うるは「いや、大分前から起きていたけど」
ヌル男「え?」

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うるは「お前が必至過ぎるのが面白くてな。寝たふりしてたんだ」
ヌル男「うるはさん、酷いよ・・」

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じじい「いちゃついている場合か、クソガキども・・」
うるは「お、立てるのか?」

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じじい「これでも一時は名を馳せた武闘派ゲリラじゃ。なめられては困るわ」
うるは「ただのじじいじゃないみたいだね!」

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「それはかつて昭和の時代・・わしは若者らしい希望を胸に、仲間を率いて武力革命を指揮していた」

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「ところが・・組織の拠点となったわしの別荘で、仲間たちは乱交しかせなんだ!奴らは結局、夢や革命などどうでもよかったんじゃ!」

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「失望と怒りに震えたわしは、権力に向けるはずだった銃を、仲間たちにぶっ放した。全員跡形も無くなるまでな・・」

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じじい「その別荘が今でもわしの家、奴らを葬ったのがこの森というわけだ!ぐははは」
うるは「自分の理想なんかの為に、大事な仲間をやっちまったのか。つくづく憐れなじじいだな」

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じいい「黙れ、貴様らにわしの孤独が分かってたまるか!」
ドギュドギュドギュッ

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うるは「はぁっ!」
ビビビッ
じじい「!?」

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じじい「小娘、弾をどうやって止めた?」
うるは「飛んできた弾を指でつまんだだけだ」

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じじい「そんなことができるか・・これはきっと夢だ!」
うるは「その銃、あと一発残ってるぞ」

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うるは「この世が夢と思うなら、自分を撃ってみたらどうだ?お前は残念過ぎて、手を下す気にもなれない」
じじい「はあはは、はははh・・ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ・・・・・・」

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うるは「いこうぜ、ヌル男」
ヌル男「う、うん・・」

<続く>

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